庄司栄介さんが日本建築学会 2025年(第36回)「優秀修士論文賞」を受賞
2025/08/27
- 建築学専攻
受賞者
庄司 栄介 さん(建築学専攻)
指導教員
清水 郁郎 教授(建築学部)
学会?大会名
日本建築学会
賞名

研究内容
多様な移転や住宅供給の政策があっても、なぜスラムはなくならないのか。本研究はその問いに迫るため、居住者の視点から住環境を明らかとした。調査の結果、バンコク最大のスラム、クロントイでは靴修理や商売で成功した一部の住民の富裕化が、親族が近接して居住する「コンパウンド」を形成し、路地や住居前を調理や談笑の場として居心地よい空間に変えていた。しかし近年、若い世代の富裕化や少子高齢化で「コンパウンド」が解体は向かうことが予測される。
研究目的
本研究の目的は、居住者の視点からスラムの生活実態と住環境を明らかにすることである。そのために、バンコク?クロントイにおける住民の富裕化と、親族が近接して暮らす「コンパウンド」の形成や解体に注目した。社会関係と居住空間の結びつきを明らかにすることで、生活に根ざした新たなスラム改善の基盤を示すことを目指す。
今後の展望
クロントイでは今後全面的な移転政策が予定されており、その前に路地や住居前空間の使われ方を含めた生活実態を丁寧に把握することが重要である。本研究で明らかにした富裕化や「コンパウンド」の動態を踏まえ、住環境や外部空間の質を損なわずに活かす改善策を検討していきたい。その成果を、タイ国内に限らず他国の都市スラムにも適応可能な住環境改善の方向性として提案し、社会に還元していく。